食道がん

摘要

食道がんは今日においても消化器癌のなかで最も予後の悪い悪性腫瘍の一つである。 本邦では，食道がんのうち，扁平上皮癌が約95％であり，その他の上皮性悪性腫瘍，平滑筋肉腫などの非上皮性悪性腫瘍が残りの数％を占めている。 そして，かっては進行食道癌の状態で発見されることが多かったが，今では転移のない，早期癌や特殊な食道悪性腫瘍までも診断されるようになっている。 また，その診断法，治療方法，周術期管理などあらゆる領域において進歩し，リンパ節転移のない早期癌に対しては内視鏡によるEMR（Endoscopic mucosal resec-tion）が開発され，進行癌のみならず，早期癌にも化学放射線療法が施行されるようになり，食道癌の治療法も多様化されてきている。 その結果，手術死亡率は数％と比較的安全な手術となり，治療成績も5年生存率が20％台から50％台へと確実に進歩している。 さらに，今後は根治性，低侵襲，QOL，を満足させるオーダーメイドの治療が求められている。 ここでは食道癌診断，治療のガイドラインという観点から，1．現在の食道癌に対する最新の診断，2．「食道癌治療ガイドライン」の概要，3．その他の最新の治療，について解説する。