日本うつ病学会の治療ガイドライン：軽症うつ病

摘要

我が国独自のうつ病治療ガイドラインとして は，精神科薬物療法研究会による「気分障害の薬物治療アルゴリズム」があり，初版（1998 年)および改訂版(2003年)2)が広く流布され た，しかし，その後10年近い時間経過の中で 新しい抗うつ薬が次々と上市され，それととも に新たな副作用も注意喚起されて，さらには双 極性障害概念の拡大や軽症大ぅつ病における新 規抗ぅつ薬の有効性についても国際的な議論が 巻き起こった.うつ病をめぐる国内の問題も， うつ病概念の混乱，患者の「急増」，安易な抗 うつ薬処方への批判など，比較的軽症例に関す る問題が中心であつたが，前出のアルゴリズム が軽症と中等症を分けない立場であったこともあり，新しい治療ガイドライン策定への機運が高まった.そのような背景において，2012年 7月に日本うつ病学会が，日本国内の学会とし ては初めて大うつ病治療ガイドラインを作成? 発表した。本稿では,そのうちの「軽症うつ病」の項について解説する.