ムンブスワクチンにより遅発性意識障害と小脳失調を呈した髄膜脳炎

摘要

ムンプスヮクチンの副反応は接種後2~3週以内に生じることが多いが遠隔期に認められるこ ともある.症例は1歳3か月男児.ムンブスワクチン初回養種の32日後に発熱，けいれん群発を 認めた.発作間欠期は意識清明であり，神経学的異常所見はなかつた.髄液検査で単核球優位の細 胞増多を認めた.耳下腺腫脹やアミラーゼ上昇はみられきかった.解熱後に意識障害と体幹失調が 出現し2日間持続，後遺症なく軽快した.'髄液の分子遺伝学的解析によりワクチン株(星野株)が 分離'同定されたため，ムンブスワクチン副反応による髄膜脳炎と診断した.ムンブスワクチンは 通常より遅れて副反応を呈する場合もあり，ワクチン副反応の真の頻度を把握するためにも，分離 ウィルスの分子遺伝学的検討は重要であると考えた.