21世紀の小児医療の展望と改革に向けて2006年-2008年日本小児科学会理事会活動報告

摘要

この2年間，我国の医療を巡る情勢はますます厳しさを増し，医療はまさに崩壊しつつあると言っても過言ではないような状況に立ち至っております．少し前までは小児医療が医療危機のもっとも厳しい状況を体現しておりましたが，大野病院事件を切っ掛けに産科医療が一期に小児医療以上の危機的状況に立ち至り，さらには外科，内科を含め，今や医療界全体の問題となっています．事態がここまでくるとその解決は小手先だけの対応では間に合わないことは明らかです．当日本小児科学会では，前理事会以来のこの問題への取り組みを続けてきておりますが，その主張である小児科医療の集約化を柱とした小児科医療体制の再構築も，現在に至ってはかなりの痛みを覚悟する必要があるように思います．しかし，解決の方向性をこの方向以外に見つけることが困難であることも確かですので，今後の活動はこの痛みを可能な限り緩和しつつ，それを乗り越えた向こう側に明るい未来を示すことであろうと考えます．