左心系心疾患に伴う肺高血圧症

摘要

左心系心疾患に伴う肺高血圧症[pulmonary hypertension (PH) owing to left heart disease (LHD) ； PH-LHD)は，臨床肺高血圧分類（Dana Point, 2008年）のグループ2に分類されている. PH-LHDは後毛細血管性肺高血圧症（post-capillary PH ； pc-PH)とも呼ばれ，左心系心疾患によつ て上昇した左房圧が肺動脈へ逆行性伝播した結果 生じる受動性のPHである.また，一部のPH-LHD では肺血管病変を合併し，肺動脈性肺高血 1±征(pulmonary arterial hypertension ； PAH)の 要素が加わる.このような症例の肺動脈圧は左房 圧上昇の程度から推定されるより高い値を示し， out of proportion PHあるいは反応性pc-PHと呼 ばれる.PH-LHD力s注目される理由には，PHの なかで最も頻度が高いこと，予後不良のリスク因 子となること，病態の解明や治療ェビデンスの確立が十分でないことが挙げられる.