脊髄ミクログリアを介する神経因性疼痛の発症維持メカニズムMechanisms underlying neuropathic pain through spinal microglia

摘要

末期癌、糖尿病、脳卒中後遺症に見られる慢性化した堪え難い痛みは、患者のQOLを極度に蝕むだけでなく、原因疾患の治療にさえも多大な悪影響を及ぼすことから、適切なべインコントロールが要求される。 しかし現状は、既存の鎮痛薬である非ステロイド性抗炎症薬やモルヒネなどが著効せず、有効な治療法も確立されていない。 このような難治性の慢性疼痛は、神経の損傷や機能異常に起因している場合が多いことから神経困性疼痛と呼ばれ、アロデイニアという異常痛覚を主症状とする。 アロデイニアとは、通常であれば到底痛みを起こさない軽度な機械刺激によって激烈な痛みを誘発する症状で、その発症機序は依然不明のままである。 全世界で推定約1500万人が慢性疼痛を患っている今現在、神経因性疼痛の克服は生命科学における重要な課題の一つであると言える。