パリビズマブの新しい使用の手引き 免疫不全児およびダウン症候群の児への適正使用を考える

摘要

RS (Respiratory Syncytial)ウィルスは、乳幼児の呼吸器感染症の主要病原ウィルス として知られている。本邦では、RSウィルス感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制 するヒ卜化モノクローナル抗体のパリビズマブが2002年に承認され、早産児、気管支 肺異形成症、先天性心疾患のある児に対して使用されてきた。こうした中で、全国規模で 実施されたアンケー卜調査により、免疫不全を伴う児、ダウン症候群の児などでも重症化 リスクの高いことが明らかとなり、日本小児血液?がん学会、日本小児リウマチ学会から、 これらの児に対するパリビズマブの適応追加の要望が出された。その後、厚生労働省に よる「医療上の必要性の高い未承認?適応外薬検討会議」の検討を経て臨床試験が実施 され、2013年8月に適応が追加となった。本適応は症例自体が少なく、使用経験も限 られているため、使用ガイドラインとなる「パリビズマブ使用の手引き」が作成されている。 今回、「使用の手引き」作成にご尽力され、適応追加となった疾患がご専門の先生方にお 集りいただき、各疾患の現状、および手引きのポイン卜や作成にあたり配慮した点などについてご解説いただいた。