妊娠後期に発症したStanford A型急性大動脈解離

摘要

同日夕方当院へ転院した.血行動態は安定しており，また妊娠30週で胎児娩出可 能であることより，まず腰椎麻酔下に帝王切開お よび子宮全摘を行い，.集中治療室（ICU)入室後 全身麻酔に移行し，翌朝解離に対する手術に臨んだ. 胸骨正中切開すると，心囊内には滲 み出した血液が中等量あり，上行大動皿部拡大 および解離所見が認められた.左大腿動脈送血， 右房脱血で人工心肺を開始し，上行大動脈遮断下 に大動脈切開すると，亀裂は基部前面に認められた.弁を3尖とも切除し，SJM 23 mm (St. Jude Medical社，東京)とGelweave 26 mm (Terumo 社，東京）でcomposite graftを作成して鏠着し た.両側冠状動脈入口部はCarrel patch法で再 建した.膀胱温25 °Cで循環停止し，遠位側開放，脳分離体外循環とした.