疣贅により急性下肢動脈閉塞をきたした感染性心内膜炎の1例

摘要

感染性心内膜炎（infective endo－carditis：IE）に対する手術は，保存的治療により炎症，心不全がコントロールされれば待機的に行うのが一般的である．今回，保存的治療，手術待機中に下肢塞栓症を発症し，塞栓除去および弁置換術を行った大動脈弁位のIE例を経験したので報告する．症例　71歳，男．主訴：全身倦怠感．家族歴·既往歴：特記すべきことはない．現病歴：約3カ月前より感冒様症状があった．1カ月前より全身倦怠感が増強し，近医の消化器科を受診した．抗生物質·輸血などの加療を受けるも症状が改善せず，同院循環器科を紹介され受診した．精査にて大動脈弁位のIEと診断され外科的治療目的に当院へ転院となった．