三軸加速度計を用いた臼蓋形成不全股における動的不安定性の評価

摘要

背景：臼蓋形成不全による二次性変形性股簡節性の原Hとしては，関節軟骨への過剰なメカ二カルス卜レス，動的不安定性.筋力不全などさまざまな要因があげられる.臼蓋形成不全股におけるメカ二カルストレスに関する研究は広く行われているが，動的不安定性に関してはいまだ明らかになっていない.本研究の目的は三軸Й速度計を用いて白蓋形成不全股の動的不安定性を評価することである.対象および方法：対象は，片側に臼蓋形成不全を認め，対側がcenter-edge (CE)角25°以上のコントロールとして用いることが可能な正常股である24例48股とした.検査帪の平均年齢は35.3 (14-55)歳であった.X線学的病期分類による前o初期関節症のみを対象とし，脚長差などによる跛行を認める症例や定量的な評価が困難なbody mass index (BMI) 25以上の症例は除外した.三軸加速度計(Kistler社,Postfach)を大転子部に大腿骨骨軸に平行に設置し，歩行時きの接地時の加速度を計測した.歩行の安定した3回の接地時の加速度のピークをそれぞれ平均しべクトルの大きさを求めた.不安定性の評価は得られたX, Y, Z軸の三方向のベクトルを合成し患側と健側で比較した.また. 合成したべク卜ルの大きさとX線データとの圉連を評価した.結果：患側，健側とも全例，接地時の三方向のべゥ卜ルはX軸は上方.Y軸は後方， Z軸は外惻方向へ向かった.三軸のベクトルを合成した大きさ（合成加速度）を患側と健側で比較すると，有意に患側で大きく，不安定性ありと考えた.合成加速度の大きさはCE角,acetabular head index (AHI)ともに負の相関を示した.またSharp角，acetabular roof obliquity (ARO)には正の相関を示した.結語：加速度計による股園節不安定性の評価は股鬨節の動的不安定性と定量的に評価するうえで-有用であることが考えられた.歩行時の不安定性は臼蓋形成不全の程度が強くなるほど大きくなり，結果より不安定性が強くなるほどCE角も減少しており，ほかのX 線学的指標の中でももつとも不安定性と強く相関しており，不安定性を予測するうえで有用であると考えられた.