頸部食道癌に対する根治旳放射線化学療法後の瘢痕狭窄にY字型胃管による下咽頭胃管バイパス術を施行した1例

摘要

頸部食道癌に対する根治的放射線化学療法の登 場により，これらの癌腫の生命予後は大きく改善 した。そして，手術なしに完治を望める症例 もあり，現在も集学的治療の根幹を成してい る。しかし，放射線治療の副作用は，周知の ごとく照射部位に早期から，そして晩期にわたり さまざまな障害が出現する。局所的な副作用とし て病変部位の瘢痕狭窄があり，経口摂取が不可能となり患者のQOLをいちじるしく害することに なる。今回，頸部食道癌に対する根治的放射線化 学療法後に発症した高度な瘢痕狭窄症例に対し て，Y字型胃管を用いた下咽頭胃管バイパス手 術を行い経口摂取再開が可能となった症例を経験 したので，その手術手技と有用性について報告する。