右胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス術後に生じた早期胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術の1例

摘要

虚血性心疾患に対する治療法として冠動脈バィパス手術(coronary artery bypass graft,以下 CABG)は標準的な治療法の1つとして定着して おり，経皮的冠動脈形成術などのカテーテル治療 が発達してきている現在でも広く行われている。 CABGのさいのバイパスグラフトとして，動脈 ダラフトは開存率が高いため使用頻度が高く，左 右内胸動脈以外に右胃大綱動脈（right gastroepiploic artery,以下RGEA)が使用され ることもある。RGEAグラフトは主に右冠動脈 領域の血行再建に使用されているが，その術後に 胃悪性腫瘍に対する胃切除術を施行する場合，リ ンパ節郭清などに対する一定の見解はまだ得られ ていない。今回，RGEAを使用したCABG術後 7年目に生じた早期胃癌に対し腹腔鏡下幽門側胃切除を施行した1例を経験したため報告する。