集団認知行動療法の特徴と新しい展開

摘要

集団認知行動療法は認知行動モデルに基づく集団精神療法であり，他の精神療法よ りも構造的，指示的，共同的，時間制限的な集団精神療法である。無治療群と比較してさ まざまな疾患に対して有効であるとされているものの，ェビデンスの蓄積は十分ではない。 また，現状では治療効果では個別で提供される認知行動療法より劣り，費用対効果ではコ ンピューターで提供される認知行動療法より劣るため，治療ガイドライン上ではさほど重 要な位置を占めていない。一方で集団認知行動療法には集団ならではの利点と欠点があり， それらを十分に理解し，集団精神療法としての特徴を踏まえた工夫を行うことで，その可 能性を最大限に活かすことができる。近年では，集団形式を基本とした新たな認知行動療 法も開発されつつあり，集団認知行動療法の新たな展開としてさらなる実践と効果の検証が望まれている。