大規模災害発生時の精神保健医療活動にかかわる情報伝達?共有システムの構築

摘要

抄録：東日本大震災後，宮崎県は岩手県大船渡市および釜石市に精神科医療チ―ムである 「宮崎県心のケアチーム」を派遣した。派遣初期に，①派遣者同士の連絡手段が十分でなく， 活動に関する大量の情報の引き継ぎが非効率的に行われていること，②活動内容，派遣先 での生活や安全に関する情報が不足しているため，派遣者にストレスが生じていることが明らかとなった。そこで，2つの問題を解決するため，情報提供.交換の場としてホーム ページおよび電子掲示板の設置と運用を行い，一定の効果が得られた。このような情報共 有システムが他県への派遣事業だけでなく，宮崎県内における大規模災害発生時の精神保 健医療活動にも有効であると考えられたため，いくつかの機能を追加して運用を始めてい る。本稿では東日本大震災心のケアチーム派遣事業の経験から得られた，情報共有システムの必要性と有効性について紹介する。