飲酒による外因死一アルコールにょる細胞障害増悪の機序

摘要

飲酒によって外因死を来すことについて古くから報告されてきた。わが国においては巽状死体の4割で体内アルコールが検出されており，飲酒関連死は相当数あることが推定されている。その中で本来死亡に至らないにも関わらず死亡するケースが存在する。アルコールが増悪因子として慟いていることを意味する。特に頭部外傷ではそれほどの頭蓋内損傷を来していないにも関わらず予後不良となる場合がある。動物モデルを使った実験的検討で，アルコールが体内にあると脳浮腫が增強すること，そのことに水チャンネルタンパクであるアクアポリン4が関与していることが明らかになった。アクアポリン4の発現には自然免疫系のTLR4が関与していることや，共役しているNa+~-K+~-ATPaseの関与も示唆されており，いずれもエタノールによって影響を受け，結果として脳浮腫が増強することが明らかになった。