携帯端末向けセンサ統合型ジオフェンシングの実装と消費電力分析

摘要

ユーザにとって重要な地点への入圏を自動的に検出するジオフェンシングでは，監視スポットへの入圏の検出性能を維持しつつ，消費電力を削減することが必要となる．本稿では，シミュレーションによるモデル化が困難な実環境におけるシステムの性能を明らかにするため，筆者らが評価を進めてきた提案システムをAndroidベースのスマートフォンに実装し，実機でのフィールドテストの結果を示す．特に，システムを構成する移動検出機能，間隔可変測位機能，測位手段切替機能を独立に有効化および無効化し，各ケースのハードウェアコンポーネント毎の消費電力の内訳を比較することで，各機能が相互に及ぼす影響を分析する．評価結果より，WiFi測位で継続的に測位誤差が発生した場合，移動検出機能や間隔可変測位機能が不正な情報に基づいて動作し，入圏検出が大きく遅延することが確認された．また，移動検出機能における移動状態の検出漏れや静止状態の誤判定により測位機能が適切な契機で動作せず，入圏検出の遅延の原因となり得ることが確認された．