核融合発電に向けて14 核融合炉材料開発

摘要

現在、人類が最も早く実現可能であろうと考えられている核融合反応は、重水素と三重水素（トリチウム）の反応であり、そのエネルギーは、主として発生する高エネルギー中性子の運動エネルギーとして与えられる。このため核融合炉では、核融合プラズマを取り囲むようにブランケットという機器を配置し、①中性子遮蔽、②燃料生産（反応を継続するのに十分のトリチウムを生産）、③エネルギー取り出し（高エネルギー中性子を受け止め熱エネルギーに変換する）を同時に行う。（一月号参照）ブランケットがその運転期間中に安定して機能を果たすためには、高エネルギー中性子の照射を受けながらも要求特性を満たす構造材料、高温照射下でも化学·構造安定性を保持できるトリチウム増殖材および中性子増倍材の開発が必要となる（図－1）。特に構造材料には、高い耐熱性·耐照射性のみならず、安全性·社会的受容性を高めるために高エネルギー中性子照射による放射化を最小限にすること（低誘導放射化）が求められる。