排水中有害物の除去照射で生成した活性種利用

摘要

水にガンマ線や電子線などの放射線を照射すると、水分子が分解され酸化力の強いヒドロキシルラジカル(OH)や還元力をもつ水和電子など、化学反応性に富んだ活性種が水中に生成される。 これらの活性種の化学反応性を利用して水中の有害物を分解し除去しょうとする技術が、放射線による排水中有害物の除去技術である。 放射線による排水処理の研究は、昭和四五年ころ環境問題がクローズアップされたころから、世界の各地で始められた。 日本でも、染色排水処理、凝集沈殿などの従来の水処理技術との併用技術、下水放流水の殺菌など研究された。これらの研究成果のうち日本原子力研究所が行った下水処理関係技術は、大学、国、自治体の下水道関係者からなる技術検討委員会の評価結果が平成七年に発表され、実用化が待たれている段階にある。 ここでは、飲料水の原料である上水原水を含めた排水中有害物の放射線照射による除去技術の概要について述べたい。