戦略的基盤技術力強化事業の開発成果と今後の展開：「超小型軽量アクチュエータ/サーボアンプに関する研究開発成果」の概要と今後の展開について

摘要

本研究開発は，経済産業省中小企業庁が平成15年度に創設した「戦略的基盤技術力強化事業（中小企業総合事業団（当時）委託事業）」のロボット部品分野対象のスキームに提案し，採択されたものであり，構成メンバーは㈱サイメックス，㈱テムザック，㈱安川電機，九州大学である。 提案した平成15年4月当時のロボット市場は製造産業分野を中心に約5,000億円程度で推移していた。一方，㈱日本ロボット工業会の「21世紀におけるロボット社会創造のための技術調査報告書」では，2025年のロボット市場を約8兆円と予測し，そのうち生活支援分野における次世代ロボットが占める割合を4兆円と予測した。 この市場規模を実現するためには，生活支援に欠かせない柔軟物ハンドリングのように器用な作業をするハンドを有したロボットが不可欠であるが，このような作業に使用できるエンドエフェクタ（多指ハンド）は，当時研究段階にとどまっていた。 その理由はアクチュエータ/サーボアンプが，ロボットアームへ搭載するには大きすぎる（重すぎる）こと，アクチュエータが研究用少量生産のため高価であること等であった。そこで，新市場と期待される生活支援分野，警備·オフィス分野におけるロボットに必要とされる様々な機構構成の多指ハンドユニットを容易に設計·製作可能な超小型軽量アクチュエータ/サーボアンプを開発することをねらいとした。