CSMA/CA無線ネットワークでのチャネル結合及びマルチチャネル技術に関する比較検討

摘要

端末が自律分散的に通信を行う無線アドホックネットワークにおいて，パケット衝突が少なく高速な情報伝送を実現するアクセス制御が必要となる．そこで，近年チャネル結合及びマルチチャネルのような広帯域アクセス制御技術が検討されている．本稿では，自律分散無線通信システムについて，チャネル結合およびマルチチャネル技術の特性を理論解析及び計算機シミュレーションにより検討する．理論解析においては，先行研究が行われているnon-persistent CSMAを想定し，概括的特性把握のため理論評価を行う．一方シミュレーションにおいては，実際の無線LANに用いられているCSMA/CAを想定し，マルチチャネル制御プロトコルを用いて得られる特性を評価する．理論解析及びシミュレーションにより，トラフィックが小さいとき，チャネル結合技術の遅延がより小さいが，トラフィックが大きいとき，マルチチャネル技術の利用によりスループット及び遅延特性が改善されることを明らかにする．