ミリ波無線LANシステムにおけるアクセスポイント連携型媒体アクセス制御プロトコルの提案

摘要

ミリ波帯を用いる無線LAN（Local Area Network）システムは，マイクロ波帯では獲得不可能な広い周波数帯域を活用すると共に，ミリ波帯無線搬送波の直進性を活かした高密度な無線周波数資源の利用により，高速な無線伝送を実現するシステムとして注目されている．しかし，什器や人物による遮蔽により，送受信機間の見通し内伝搬路が遮蔽されると著しく受信電力が低下し，伝送速度の低下を招く．また，キャリアセンスに基づく媒体アクセス制御方式であるCSMA/CA（Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance）方式に則って無線周波数資源の獲得を試みるため，干渉回避機構が過剰に機能すると無線周波数資源を高密度に利用することができず，逆に，ミリ波帯無線搬送波の直進性に拠り干渉回避機構が十分に機能しない場合には，指向性隠れ端末問題が発生し伝送速度の低下を招く．これらの問題に対する対策として，本報告では，AP（Access Point）コーディネータの集中管理の下，複数のAPと端末群が互いに協調可能なグループを形成し，連携してビームフォーミングトレーニングを行うと共に，獲得した無線周波数資源をグループで共用することにより，遮蔽に対する耐性を高めつつ，無線周波数資源の高密度利用を図るシステムとして，AP連携型ミリ波無線LANシステムを提案する．