ダブルループアンテナを用いた静止衛星通信用受信アンテナのビーム走査特性に関する検討

摘要

本稿では，ラディアルスタブを装荷した終端開放スロット線路給電ダブルループ素子アンテナを用いた，移動体静止衛星通信用受信アンテナを提案する．本素子アンテナは，基本モードおよび2次高次モードで動作する2つのループアンテナを下方に隣接させたスロット線路より給電する構造であり，この給電線路を調整することで，素手アンテナ単体の反射特性の改善を図ると共に，リニアアレー構造におけるビーム走査特性の検討を行った．その結果，素子アンテナは仰角約35度方向に利得約5dBiのチルトビームを有し，また16素子リニアアレー構造において，仰角20度から50度の範囲で利得が変動することなく走査可能であることを確認した．更に512素子構造における放射指向性を計算したところ，その主ビームは30dBi以上の利得を有し，静止衛星通信用アンテナとして有効であることを示した．