コンクリート中鉄筋の腐食に対する電気化学インピーダンス法による評価

摘要

コンクリート劣化と鉄筋腐食の評価を目的とした電気化学インピーダンス法の原理を解説した。インピーダンスを測定するための電極（プローブ）設置法として，「①直接インピーダンス型」と「②間接インピーダンス型」の2種がある。本稿では後者の電極配置でのインピーダンススペクトルの測定結果を示し，その解釈を説明した。コンクリート中に腐食した鉄筋が存在し，その近傍にプローブ電極を配置した場合，インピーダンススペクトルに小さな容量性半円が観察された。これは，鉄筋の腐食サイトを介して鉄筋に電流が流れ，電極（プローブ）間の抵抗値が小さくなったためである。また，鉄筋の腐食箇所が異なる場合，インピーダンススペクトルの値は敏感に変化した。本結果は，既存の鉄筋コンクリートに対して，外部に設置する電極（プローブ）を利用してインピーダンススペクトルの測定が可能であることを示しており，コンクリート中鉄筋腐食の非破壊検査法の確立につながる。