電気化学インピーダンス法による鉄筋コンクリートの腐食検出--鉄筋コンクリートの電気化学インピーダンス測定とその解釈

摘要

鉄筋コンクリート構造物の腐食劣化は世界的な問題となっており，適切な維持·管理を実現するにはコンクリート内部の状態を確実に診断する必要がある．電気化学インピーダンス法（EIS）は非破壊に電極/溶液界面や皮膜形成に起因する時定数を分離することができる．そのため，EISは鉄筋コンクリート内部の状態を精密に診断する有力な方法の1つである．EISによるコンクリート内部の鉄筋の腐食評価は1978年にDawsonら1）により検討されており，これまで国内·国外においてEISを利用した鉄筋コンクリートまたはコンクリート模擬環境中における鉄筋の腐食評価に関する研究が報告されているト5）、．しかし，コンクリートの作製方法，コンクリート内における鉄筋の状態，インピーダンススペクトルの測定条件など各々の報告において様々である．測定されるインピーダンススペクトルに観察される時定数の解釈も報告により異なり，カーブフィッティングに使用される等価回路も複雑である場合が多い.