人工衛星に及ぼす帯電放電現象について

摘要

近年我が国の衛星も帯電により設定された運用期間を全うできない事象が発生している。少なくとも設定された運用期間は安定して動作することができる衛星の開発設計が必要である。宇宙航空研究開発機構（JAXA）は衛星設計標準化作業を行っており，帯電·放電に関しても研究課題として取り組まれている。そこで筆者らは，宇宙放射線環境による帯電現象に注目し，実際に宇宙環境における衛星材料の帯電量の定量評価を目的として荷電粒子照射時の材料の帯電測定を行っている。本報告では宇宙環境とそれに起因して発生した実際の事故例及び荷電粒子照射中における材料の絶縁破壊について，その前後の材料内の帯電電荷挙動の観測例について紹介する。