シリコン加工砂利による人体の接触·歩幅電圧の低減対策

摘要

変電所等の構内では感電保護のために歩幅電圧や接触電圧の低減対策が行われている。 この対策のひとつに砂利を敷く手法がある。 IEEEの変電所接地設計指針においてもこの手法が提案されているが，指針の中で感電保護対策として砂利の抵抗率の具体的な指標は見当たらない。 抵抗率を高くするためにシリコン溶剤を数ミクロンの厚さで砂利（玉砂利）に焼付けた砂利（以下シリコン加工砂利という）がある。 この抵抗率を測定した結果，有用なデータが得られた。 そこで，それらの知見をもとに，歩幅電圧，接触電圧を低減するためのシミュレーションを行うことにした。 IEEEの文献では歩幅電圧，接触電圧の計算手法は提案されているが，具体的な数値は検討されていない。 本論文では，砂利およびシリコン加工砂利の抵抗率をもとに，IEC規格に基づいた人体の電気的データを用い，数値シミュレーションによって許容される歩幅電圧，接触電圧を推定してみた。 その結果，一般砂利に比べて，シリコン加工砂利は許容電圧を高くすることができ，感電保護対策に寄与することが明らかになった。