バイオエネルギーと地球温暖化防止

摘要

バイオマスを利用·燃焼すれば二酸化炭素を放出するが，同量の二酸化炭素が光合成によりバイオマスとして固定されており，正味で大気中の二酸化炭素濃度に変化を与えない。この性質を称してカーボンニュートラルと呼んでいる。 バイオマスはほかの再生可能エネルギーと比較してュニークな特長がある。 それは炭素系であることで，電気や熱以外にメタン，メタノール，エタノール，DME（ジメチルエーテル），ガソリンのような化学品や輸送用燃料が直接製造できることにある。 化石資源と比較してその分布密度が希薄であり，収穫にコストがかかるなどの欠点もあるが，利用法によっては環境負荷の低い，かつ循環して使用できるェネルギーとして有望である。 近年の地球温暖化の懸念から，二酸化炭素の排出削減が求められており，再生可能エネルギー（日本では新エネルギーと呼ぶ）の利用が期待されている。 本稿では，わが国のバイオマスを巡る状況，輸送用燃料としてのバイオエネルギー，二酸化炭素の削減効果，今後の展望などについて述べる。