非破壊的過負荷作用後の腱組織における残存ひずみの発生

摘要

腱や靭帯の部分的損傷は，発生頻度の非常に高い外傷である．しかしながら，その損傷の様式や度が極めて幅広いために，非破壊的過負荷を作用させた後に発生する腱や靭帯組織の力学的強度低下は十分に定量化されていないのが現状である．本研究では，腱試料に破断応力の90％に相当する過負荷を作用させ，その後に生じた残存ひずみを計測した．さらに，過負荷による腱組織の強度低下と残存ひずみとの関係について検討した．その結果，正常組織の破断ひずみの約18％に相等するひずみが過負荷後に残存しており，残存ひずみの増加とともに強度低下の割合も増加することが明らかになった．また，測定された残存ひずみは，過負荷作用後の関節機能の低下と密接に関連している可能性が示唆された．