構造物の健全性診断を対象としたQ値トモグラフィ法の開発

摘要

筆者らは，近年弾性波速度トモグラフィを基盤としたAEトモグラフィの開発を進めてきた．これは，従来の弾性波速度トモグラフィと比較し，発信位置や発信時刻を必要とせず，弾性波の到達時刻のみから弾性波速度分布を同定することが可能となっており，調査コストの低減を図っている．一方，弾性波速度は，軽微な損傷に対して感度があまり高くないこともあることから，そのような状況において効率的な調査を実現するために，より高感度なパラメーターを使うことが検討されてきた．そこで，筆者らは，Q値を対象としたAEトモグラフィ法の開発を進めており，本研究では，その前段階として，Q値を対象としたトモグラフィ法を開発した．また，提案された手法は，数値実験によってその妥当性が検討され，提案手法は観測された振幅情報から，適切なQ値分布を同定することが確認された．