低電力モードの無線センサーネットワークに対するワームホール攻撃の検出

摘要

センサーを持つ小型無線ノードが自律的にネットワークを構成してデータを収集する無線センサーネットワーク（WSN）が注目されている．しかし，WSNの運用には解決すべき問題が残されている．1つの重要な問題は電力である．無線ノードの電源として通常小さい電池が使用されるが，電池交換なしに長時間運用できることが期待されている．そこで低電力運用に有効な方法としてノードを定期的に休止状態にすることが行なわれる．また，電力以外の問題としてセキュリティの問題がある．無線通信の性質上，WSNには第三者がネットワークに介入する危険性が存在する．WSNに対する攻撃として，悪意を持つノードが経路情報を偽装して通信を誘導し情報を搾取するワームホール攻撃は対応が困難な問題となっている．従来のワームホール攻撃対策の多くは無線ノードの連続的な運用を仮定しており，低電力動作においてノードが休止状態になることを考慮していない．そこで，本研究では実際のWSN で利用されている低電力動作を対象として，時刻同期プロトコルにおいてワームホールの存在によって生じるずれを利用した攻撃検出手法について述べる．