亜鉛電極による海生生物の着生防止

摘要

海水冷却水系の電気防汚用電極として，亜鉛電極の適　 用に関し，亜鉛圧延板と鋳造板の陽極電流密度に対する　 防汚効果を調査し，その防汚機構について検討した結果，以下の諸現象が観察され，亜鉛を電気防汚用電極として適用できることが判明した。 （1）亜鉛面にはフジツボ澤は着生し難い。 着生しても成長段階で腐食生成物とともに容易に剥離脱落する￠（2）圧延板は浸漬後約500日間は,不通電でも大型海生生物ほほとんど着生しないが，圧延私鋳造板ともに長期間蛙わたこつて防汚＿効果を発揮する陽極電流密度は30mA／m~2以上である。 （3）亜鉛面の防汚機構は，陽極溶解効果よりも,腐食生成物の皮膜が軟弱で脆く不安定である物理的効果に加え，腐食生成物面には軟質生物が塗膜状に着生し,それらの表面は石灰質形成生物の着生を抑制する生物学的効果も観察された。 （4）亜鉛面に着生した海生生物は死滅することなく,腐食生成物とともに剥離脱落したことから，亜鉛の毒性による防汚効果は考え難い。