小口径鋼管により補強した鋼管の耐衝撃性に関する実験的研究

摘要

近年，我が国の設計法は，従来の仕様設計から性能設計に移行しつつあり，部材の特性と使用用途に応じた設計法が望まれている.　現在，落石などによる衝撃を受ける部材の設計においては，部材の塑性変形によるエネルギー吸収を考慮するエネルギー吸収型の設計法と部材の弾性範囲内の応答だけを対象とする許容応力度設計法による設計のどちらかにより行われている［4］．前者は，落石防護柵の支柱のように運動エネルギーを部材の塑性変形により吸収し，落石の停止あるいは運動エネルギーを大きく低減させる構造物の設計に用いられている．一方，後者はコンクリート製のロックシェッドのような想定した衝撃荷重を受けた場合に，構造物に損傷が生じない，高い安全性を期待する構造物に用いられている．