低靭性鋼熱影響部のシヤルピー吸収エネルギーに及ぼす溶接条件の影響

摘要

阪神大震災での溶接部破断は大きな問題となり，柱梁接合部の脆性破断の防止と変形能力向上の観点から，母材や溶接金属の必要靭性について実大実験[1]やモデル実験［2］による研究が広くなされてきた．さらに，靭性がおおきく低下している可能性のある溶接熱影響部（HAZ）の靭性も注目されてきており［3］，実際の溶接王HAZから切り出した試験片を用いた研究がなされている．現状では，脆性破断防止のクライテリオンとしてシヤルピー吸収エネルギーが広く用いられており，低応力脆性破断防止の値として鋼材や溶接金属に課せられている0℃におけるシヤルピー吸収エネルギー27Jおよび47J，全面降伏後脆性破断防止の値として提案されている27Jおよび70Jが適用されている［3］．しかし，一般に母材や溶接金属と異なりHAZは狭い範囲で材料特性が大きく変化している．