－定垂直応力における小規模水圧破砕き裂の閉鎖と透水性の経時変化に関する実験的研究

摘要

長時間にわたって一山定応力下にある実際のき裂の透水性を評価する上で，き裂の閉鎖と透水性の時間依存性に関する研究が必要である。 本研究では，稲田花崗岩と来待砂岩というヤング率役異なる岩石に作成した水圧破砕き裂に対し，き裂表面高さと間隙の分布を測定した後，一定垂直応力下でのき裂の開口変位と透水性の経時変化を測定し，き裂の接触状態との関係等について検討した。 以下に，2つのき裂面の相関性が高い水圧破砕き裂について得られた主な結論をまとめて示す。 1）花崗岩および砂岩とも，水圧破砕き裂の時間依存的閉口変位は最初急速に増加した後，50～70時間でほぼ一定値に達した。 また，水理学的間隙は時間とともに減少し，約50時間でほぼ一定（1.3～1.8）となった。 最終的な水理学的間隙は，弾性的載荷後に得られた初期水理学的間隙の40～75％であった。 　 2）垂直応力一弾性的閉口変位関係がGoodmanの式に従う場合（花崗岩）は，時間依存的閉口変位が垂直応力に依存しないのに対し）垂直応力--弾性的閉口変位関係がGoodmanの式に従わない場合（砂岩）は，時間依存的閉口変位は垂直応力とともに増加する。 この岩種による差は，時間依存的閉口変位に伴う接触面積の増加率の差で生じ，これを間隙の累積確率分布関数で定性的に説明できる。 　 3）き裂面間の相関性が高い水圧破砕き裂の水理学的間隙はかなり小さく，従来の研究におけるプロセスヅンき裂程度である。すなわち，時間依存的閉鎖過程に懲ける水理学的間隙と閉口変位の関係は，平行平板で表されるDarc，則には全く従わず，水理学的間隙仁療少は間口変位の増加に比べてかなり小さい。 　 4）き裂面間の相関性が高い水圧破砕き裂の水理学的間隙の時間依存的減少量は，初期水銀学的間隙が大きいほど大きく，最終節な水理学的間隙はほぼ同程度になる。 　 最後に，本研究は文部省科学研究費基盤（B）（2順題番号凰軌および日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業研究プロジミぅト「未来型地殻エネルギー抽出の研究」（代表橋田俊之東北大学き?授）によった。 記して謝意を表する。