電場指紋照合法による疲労き裂の発生·進展モニタリング

摘要

本稿では，腐食や侵食に伴う減肉量のモニタリング装置として開発されたFSMを用い，かつ，電嵐ピン配置および印加電流など参照に，FSMにより，鋼橋の疲労き裂発生·進展に対するモニタリングが可能か否か，その可能性と適用性を検証した.得られた知見を以下に示す.まず，繰返し荷重下における疲労き裂の発生が検出可能か否かタ小型試験片を用いて検証した.結果によれば：（1）測定されるFC値は，測定箇所で疲労き裂が発生しなければ，全く変動しなかった.このことから，FC値の変化より，疲労き裂の発生が特定できることがわかった.（2）FC値が変動するpairの位置に着目することから，疲労き裂の発生箇所および進展方向が特定できる.（3）溶接止端部に発生する1mm以下の微小き裂の発生が検出できた.（4）裏面に発生したき裂がおもて面から検出できた.したがって，全板厚に電流が流れる板厚であれば，FSMにより，斎鉄板内払おもて面などに関係なく，モニタリング面から，き裂が検出できる.次いで，繰返し荷重下において，複数の疲労き裂が内在している大型桁試験体の疲労き裂の進展が検出可能か否かを検証した.