近代イギリスにおける科学の制度化：イギリス史研究の視点から

摘要

「科学の制度化」（Institutionalisation of Science）という考え方は現在では「科学の社会史」と共に，科学史だけでなく，一般の歴史学においても普通に使われていますので，これについてことさら説明する必要はないかもしれません．しかし，以下で述べますように，この概念が関わる領域はかなり広範囲にわたるため，各人各様の受け止め方をされてしまって，かえって誤解が生じるかもしれません．したがって，最初にこの概念のもと，どのような事柄がこれまでに取り上げられてきたかを簡単に見ておきます．