日本における電子顕微鏡の無機物質研究への導入期

摘要

最初の透過電子顕微鏡は，ベルリン工科大学のA，Matthiasの研究室の若い研究者E．RuskaとM．Knollが1931年に開発した．この時の倍率は20倍に過ぎず，当時の光学顕微鏡にも及ばないものであった．Ruskaは性能を高め，1933年には1万2千倍の倍率を得て，光学顕微鏡を凌駕することができた．その後Ruskaはシーメンス社で電子顕微鏡の開発に従事し，1937年に最初の商用機を完成させている．