反応誘起型相分解によるアクリルゴム／エポキシ樹脂系接着剤におけるキャビテーションをともなう高剥離強度発現機構

摘要

反応誘起型相分解によるアクリルゴム／エポキシ樹脂系接着剤の相分離構造と高接着性発現機構の関係解明を目的に，被着体界面近傍に着日して電子顕微鏡観察を行った。 その結果，高剥離強度の4，4'－ジアミノジフェニルメタンで硬化させた接着剤は，エポキシ樹脂リッチの分散粒子が，被着体であるポリイミド界面近傍の領域に多く偏在すること，それらが剥離により大塑性変形したのちキャビテーションをともなって寸断化すること，さらにアクリルゴムリッチのマトリックスでもキャビテーションが多発することがわかった。 このキャビテーションをともなう損傷領域はポリイミド界面から800nmの深さに及ぶことがわかった。 損傷領域での構造破壊によって多大の剥離エネルギーが吸収されることによって高接着性が発現すると考えられる。 これに対して，低剥離強度の1－シアノエチル－2－フェニルイミダゾール系硬化物では損傷領域は非常に浅い（20nm程度）ことも確認した。