スクラップの精製処理から発生する廃液中の貴金属の回収

摘要

貴金属の製錬プロセスで発生する廃液の再資源化は，必須の要件となっている。 本文ではPt,Pd精製工程で発生した強酸性廃液を用いて，この溶液から敏量の貴金属およびその他の有用な金属を，沈澱分離や熔融処理によって回収する方法を検討した。 得られた結果は，次の通りである。 （1）貴金属含有廃液を水酸化ナトリウムによってpH6.00で中和処理した結果，Fe，Pb，Bi，Sm，Cr，Al，Inは完全に沈澱し，Cuについても約95％が沈澱した。一方，Au，Pt，Ag，Pd，Ni，Znについてはあまり沈澱せず，廃液中の残存率は70％以上となり，最も高い残存率を示したのはパラジウムで，91.2％であった。 （2）中和処理後，pH5．50に調整して行ったヒドラジン水溶液による還元処理では，溶液中に残留していたAu，Ag，Pdが完全に沈澱した。しかし，Pt，Ni，Znについては還元処理後も65％以上が溶液中に残存した。