SPring-8の放射光SAXSによる熱硬化性樹脂材料における硬化過程のゲル化メカニズム解明－産学連携による専用ビームラインを基にした研究活動とそれによって期待されるシナジー効果－

摘要

フェノール樹脂やエポキシ樹脂に代表される熱硬化性樹脂材料は，歴史的にも古くから種々の領域において利用されてきた非常に有用性の広い材料である。近年では，例えば自動車業界における環境問題への対応の点から軽量化や排出ガス規制への対応などにおいて著しい進展が見られ，用いられている多数の部品の金属から樹脂への代替や製品の小型化による樹脂材料の一層の寄与が進んでいる。かかる自動車用途をはじめとして種々の用途への樹脂材料の展開に際しては，耐機械強度や耐熱性をはじめとするさまざまな耐久性と信頼性が重要であることは言うまでもないが，これらの材料の使用環境における要求特性を満足させるために，熱硬化性樹脂材料が重宝されてきた所以である。