九州地域における住宅用PVシステムの発電量推定

摘要

PVシステムの発電特性は，気象条件やシステムの設置状況等の影響により，発電効率が低下することが知られており，種々の影響要因に関する研究が積極的に行われている．また，気象やシステム起因の低下要因については，近似·推定式が種々提案されている．これらに，近年整備が進んでいる気象データを組合せれば，実用的な精度でシステム設置予定地の発電量算定が可能と考えられる．一方，筆者らは，実運用中の住宅用PVシステムの現状把握を行い，気象状況や周辺からの影の影響に加えて，多方位への設置や接続ミスに起因する低下例が少なくない結果を得た．工事に起因する低下は，個別性が強く一般化は困難であるが，気象等の明確な低下要因を考慮した発電量予測値と比較することにより顕在化が可能と思われる．そこで本研究では，個人住宅へのPVシステムの更なる普及促進を目指し，先ず実測結果や他の研究例を用いて，主要と思われる発電効率低下要因を簡易に推定する方法について提案する．次に九州地域における最適設置角の算定を試み，最適傾斜角と実際の設置角とのズレが年間発電量に及ぼす影響について検討した．また，住宅用PVシステムの発電可能量の把握や実際に運用されているシステムの現状把握が簡易となるよう，発電可能量マップを作成した．