マイクロ·ナノテクスチャリングと摩擦の制御

摘要

固体表面に設けた微細周期構造（以後，テクスチャ）によって摩擦を調整しようとする場合，従来の一般的な要求は摩擦を減らすことであり，これまで理論解析や数値解析による検討が進められてきた。一方で，摩擦を大きくする要求もあり，日本に固有の問題の1つは風呂床である。近年の高齢者の転倒事故は意外にも屋内で多く，屋内の段差をなくすことに加え，濡れた風呂床での転倒の抑制も求められている。濡れた床で滑ってヒヤッとした経験は多くの人がもつものとみられるが，これも同じ理由によるものである。本稿ではテクスチャによって摩擦を大きくするためのアプローチを主題とし，関連の話題として摩擦試験法と微粒子の自己組織化を用いたテクスチャ製作法について言及する。