固体潤滑剤の最近の動向：情報機械産業分野における固体潤滑剤の最近の動向

摘要

先端産業分野の各種機械，装置などの高性能化，小型化に伴い微少量の摩耗，微小な摩擦力変動が問題になり，トライボロジ特性に関して極表面層の重要性が増大している。 情報機械では情報を扱うため，物を扱う従来の機械に比べて，小型·軽量化，高速化が必須になっている。 例えば，磁気ディスクのヘッド·媒体インターフェースでは荷重が小さく，マイクロトライボロジと呼ばれる極表面の摩擦現象になり，表面の極薄層が影響を与え，薄膜による潤滑が行われている。 また，超LSIなどマイクロデバイスの製造装置では真空装置，クリンルームなどの清浄環境において微細な摩耗発塵の放出を抑制する必要がある。 一方，情報産業にも革新的変革をもたらすと考えられているマイクロ·ナノテクノロジの開発においてもマイクロトライボロジは重要な検討課題になつている。 これらの分野では従来の自己犠牲型の固体潤滑材料ではなく，DLC（ダイヤモンドライクカーボン）膜など耐摩耗性のある低摩擦な固体潤滑材料が必要になっている。