液晶の物性から考える液晶表示技術の現状と展望

摘要

ディスプレイ分野ではネマチック液晶を用いたフラットパネル型ディスプレイ（LCD）が隆盛を極め圧倒的な市場占有率を維持し続けている。一方で，LCDの現行表示方式の技術的な限界が見え始め，次世代の表示方式の開発が盛んに行われている。有機EL（OLED）は次世代表示方式の本命と期待されているが，LCDを脅かすほど成長するにはまだ時間がかかりそうである。液晶は一般に大きな複屈折を持ち，結晶光学的に定義される光軸の「向き」を電場などの外場で容易に変化できる。この性質を応用して液晶はディスプレイなどとして広く使われるようになった。本稿では，電場などにより光軸の「向き」ではなく複屈折の「大きさ」を変化させる新しい表示方式について紹介し，その現状と可能性について述べる。