フの字垂下特性を持つ新しいAC高電圧電源の提案と放電管シマ一回路への応用

摘要

グロー放電による予備電離，いわゆるシマー放電は最初固体レーザーに用いられ，レーザー出力の安定度を増すことが報告された．また，色素レーザーでは出力安定度が増すだけでなく，レーザー出力エネルギーも向上することが知られている．シマー放電の具体的方法としては，1）DC放電2）プレパルス放電3）脈流放電……今回の提案など様々な方式が提案·実用されている．さて，レーザー励起用フラッシュランプを予備電離（グロー放電）させるには，最初高い電圧，放電してからは低い電圧と或る値以上の放電維持電流が必要である．従来のDC放電ではスライドトランス電圧を上げて行き点灯させ，灯いたらダイアルを戻して一定の電流値に設定するが，操作が不便であった．そこで，わざとレギュレーションを低く設定したコッククロフト回路を用い，放電前はn倍の高い電圧，放電後は1倍圧の低い電圧に自動的に切り替わり，安定な放電を得る回路が開発された．プレパルス法はシマー電力損失は少ないが，レーザー出力エネルギー向上がやや小さいうえ，駆動回路自体や付随するタイミング回路が煩雑であるという欠点がある．我々はフの字垂下特性を持ち，効率も低レギュレーションコッククロフト点灯回路よりも優れた新しい自動点灯シヤー回路を考案したので報告する．