JOGMECが、高効率、低コストイオン膜法水酸化リチウム技術を国産化

摘要

石油天然ガス鉱物資源機構(JOGMEC）が、イオン交換膜法水酸化リチウムの製造プロセスを開発した。同機構が開発したプロセスは、炭酸リチウムを出発原料に塩酸を加えて溶解した原料液をベースにイオン交換膜法で電解を行い、水酸化リチウムを抽出するプロセス。イオン交換膜を用いた水酸化リチウムの製造プロセスは、世界で数件あるとみられているが、同機構の開発したプロセスはチタン系のDSE電極を用いて高効率化を図っていること、イオン交換膜にカチオン膜のみを使用したシンプルな構造を採用していること、常温下でも製造が行える－などが特徴で、高効率で低コストの商業化が見込まれている。開発した新プロセスの国内特許を申請しており、今後、特許の成立を待って、パイロット規模での実証テストに取り組む計画である。同機構は、このプロセスによる月産1000トン規模の商業プラントの製造フローを構想している。今年に入ってからモバイルや電気自動車（EV）向けの市場急拡大によって、世界的に水酸化リチウムの需給がひっ迫しているなかで、全量を輸入に依存している我が国の水酸化リチウムの国産化を後押しする狙いで技術開発に取り組んでいた。今後、この技術を基に、日本企業による国内外での水酸化リチウム事業化を積極的に支援して行くことにしている。