粉体であるトナーの悩みと粉体技術への期待

摘要

筆者が学生のころは研究室にはコピーがなく，市中のコピーセンターヘコピーを撮りに行った。 当時（1980年代前半）は1枚10円であった。その後の電子写真の普及は目覚しく，コピーを取ることは多くの人にとって日常的行為になった。カラーコピーもコンビニで簡単に取れるようになっている。 さらに何処にでもパソコンが在り（といってもユビキタスには程遠いが），10ppm（page per minute）以上のモノクロレーザープリンターを置いている事務所もありふれたものとなった。しかし，電子写真システムについて知っている方は少ないのではないだろうか。 システムに関しては今回の特集で他の方が書かれていると思われるので詳しくはそちらを参照願いたい。 本報では，システムの中でも感光体と並んで重要な部分であるトナーという粉体について，粉体工業の方々にもっと関わっていただくきっかけになればと考えて，散文的になるが現状と問題点を述べる。