青森県農業総合研究センターリんご試験場へ放飼された導入カプリダニ類の土着カプリダニ類への影響評価

摘要

海外から導入された天敵昆虫、捕食性ダニ類による生物的防除が実施される一方で，これら導入天敵による，対象外の餌生物や同じ栄養段階で競争関係にある土着生物への影響が懸念されている．このため導入天敵の環境影響評価が必要であり，新規導入種についてはその影響の事前評価，既導入種では放飼地域での監視が求められる．我が国へはこれまで主にハダニ類の生物的防除のため6種類のカプリダニ類が海外から導入されている．東北地方では，青森県農業総合研究センターりんご試験場（以下りんご試験場）が，ニュージーランドから3種類の薬剤抵抗性カプリダニ類Typhlodromus occidentalis（以下オキシデンタリス），Amblyseius fallacis（以下ファラシス）, T. pyri1986年に導入後1986～92年まで放飼し1987，88年にはオキシデンタリスとファラシスのリンゴ樹上での増加と越冬が報告された．