リンゴ園における導入カプリダニ類放飼の経過と土着カプリダニ相

摘要

生物防除のために海外から導入された天敵によって対象外の土着生物が減少する事例が，侵入害虫に対する導入天敵の放飼で報告された（Howarth，1991）。 それまで環境保全型農業を進めるうえで重要な役割を果たしてきた導入天敵についても，関連する土着天敵への生態的影響が注目されている。 日本でも国連食糧農業機関（FAO）から1995年に出された「外来の生物的防除素材の輸入と放飼のための取り扱い規約」を受け，1999年以降「天敵農薬に係る環境影響評価ガイドライン」（環境庁，1999）が策定され，導入および土着天敵を天敵農薬として利用する場合には事前の環境影響評価が求められている。