積層型マイクロチャネル式冷媒－冷媒熱交換器の試作と性能評価

摘要

地球環境温暖化防止の観点から，自然冷媒，特にCO{sub}2冷媒への関心が高まっている。 CO{sub}2冷媒機器は超臨界状態で放熱を行い，放熱過程において冷媒の温度変化を伴うなど従来HFC (Hydrofluorocarbon)冷媒に比べで性能が劣るため，性能改善のための機器開発が盛んに行われている。 三菱電機では，内部熱交換器や2次ループ方式を用いたシステムを検討しており，システムの高性能化には小型，高性能な冷媒－冷媒熱交換器の開発が不可欠である。 このため，多孔扁平管（マイクロチャネル管）を張り合わせて冷媒と冷媒を熱交換させるマイクロチャネル式冷媒－冷媒熱交換器を開発している。 この熱交換器は，体積当たりの伝熱面積が大きいため小型，高性能化が図れ，またアルミ材の利用により軽量，さらに，内容積が小さいため冷媒充填（じゅうてん）量の削減にも有効である。しかし，マイクロチャネル管は並列に複数の小径流路から構成され，必要な冷媒流量確保のためには複数のマイクロチャネル管を並列に構成する必要がある。 そのため，これら流路への冷媒分配，特に気液二相状態の冷媒分配には，分配特性を明確化する必要がある。 そこで，流路断面が円形の高耐圧マイクロチャネル管を製作すると共に，炉中ろう付けにより一体成型した熱交換量5kWクラスの試作機を製作し，その性能評価を行った。その結果，適用運転範囲内では，分配流量ばらつきは3～6％と小さく，分配ばらつきのない理想性能に対する到達率は95～98％であった。 分配性の向上の原因は，分配管において冷媒ガスの増速により気液の混合が促進され気液冷媒が均質化したためと考えられる。 本稿では，試作機の性能評価について，特に気液分配性を検討した実験評価の内容について述べる。